【ブログ】ある兵士の記憶

最終更新: 10月25日



日本では第二次大戦後、戦争のない時代が75年間続いています。

私も戦争の記憶はまったくありません。


唯一、1980年代に8年間続いたイランイラク戦争の現地を見ました。

テヘランに行ったときイラクによる空襲がありましたが、小規模なもので特に恐ろしいと

感じることはありませんでした。

街の所々に直径50m~100m、深さ5mぐらいのロケット弾の落ちた跡があり、周囲500mぐらいの家が吹き飛ばされていました。

夜は街中の照明が消され、家々が暗闇の中に沈んでいました。


傷病兵の入院している陸軍病院を慰問する機会がありました。

消毒液の臭いのする廊下を通って、大きな病室に入りました。片側20台のベッドが窓に沿って2列並んでいまし

私は傷病兵の姿を見て体が凍りつきました。

パジャマを着ているので体の傷は見えないのですが、手や足をなくした多くの若者を正視

できませんでした。

こんなに多くの若者が、なぜこんな目にあ遭わなければならないのか、、

これからの長い人生、両手がなくて、両足がなくて、どう過ごすのだろうか、、


その中の一人の若者の顔を見て驚きました。

砲弾がかすめたらしく顔の半分がないのです。

思わず涙が出ました。

これは酷過ぎる。

涙が止まりませんでした。


すると、本人が私を慰めてくれました。

若い妻と2歳の女の子が毎週来てくれるのが楽しみだと言っていました。

退院したら故郷に帰って、父親の彫金の仕事を手伝うのだそうです。

片目でもできる、と微笑んでいる顔が涙で霞んで見えました。

極く普通の優しい青年です。


大きな傷は治ったように見えても、痛みは20年ほど毎日続くのです。

戦争の苦しみは一生続きます。

どんな理由があっても、彼のような純朴な青年の人生をメチャクチャにする戦争は許し難い。

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