古い話で恐縮ですが、台湾のコンピューター協会の邱会長から「ラスベガスのエレクトロニクスショーCESに一緒に行きませんか」と誘われ、サンノゼ経由で行きました。
「スタンフォード大学で台湾の若い人が検索エンジンの開発をしているので会ってほしい。できれば出資してもらいたい」と言われ、大学の近くの中華レストランで会いました。
恥ずかしいことに当時は“検索エンジン”についてほとんど知らなかったので、前日、知り合いの地元の社長6~7人に聞きました。
「インターネットの検索エンジンねー。インターネットは誰も儲からない。ビジネスにならない」
「大学で使うシステムで一般には使えないよ。マニア向けだね」
との反応でした。
ただ一人だけ「ひょっとすると、今まで考えられなかったパラダイムシフトが起きるかも」と貧相なユダヤ人が言いました。
「邱会長の手前もあるので1億円ぐらい出資してやるか」と考え、その若者に会いました。
日本で勉強した事もあるほか、奥さんが日系2世ということで日本語もある程度できる、愛想の良い好青年でした。
「日本の孫さんが100億円位出してくれるので、もう資金は十分です」
「え?孫さんってソフトバンクの孫さん?」
これには驚いた。当時のソフトバンクが100億も出せるとはとても信じがたかった。
それに、日本で検索エンジンに100億円も出す人は一人もいないと思いました。
「200億円まで出してくれそう」
「ホントー!」と思わず言いました。
そのとき無理にでも1億円出させてもらっていれば 今頃1,000億になっていたのに、、。
物欲しげな気持ちを悟られないようにとの妙なプライドで「頑張ってね」と上ずった声で言って別れました。
「ソフトバンク200億、ソフトバンク200億、、」孫さんの顔が頭を駆け巡りました。
ソフトバンクは潰れるのでは?と思いました。
貧相なユダヤ人が言いました。
「孫さんは天才だね。君は馬鹿ではないが普通の人だね」
ジェリー・ヤン(Yahoo!の共同創業者)という若者とはそれ以降、一度も会っていません。
幸運の女神が目の前に現れ、飛び去った瞬間でした。
天才孫さんと我々常人の違いを、3年経ち、5年経ち、10年経って思い知りました。
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