最近は「おしん」と言っても、若い人はほとんど知らない。
「原作者の橋田寿賀子?」「誰それ?」
「渡る世間は鬼ばかりの作者の橋田寿賀子だよ」
「あーあれ、面白かったよ」
その橋田寿賀子氏が、先日4月4日に亡くなりました。
1980年代にイランに行ったときのこと。
街を歩くと「おしん!おしん!」とニコニコして言われる。
「この人、テレビドラマを見たんだな」と軽く思いましたが、それから行く先々でおしんのことを言われる。
「これは普通じゃないな」
街には、made in China のおしんグッズがたくさん並んでいます。
話を聞いてみると、週1回やっている「おしん」が始まると、街からタクシーがいなくなり、車も少なくなるという。
日本だと「銭湯から人がいなくなる」、イランでは「街からタクシーがなくなる」のです。
視聴率は最高で90%、平均で80%と、ほぼ全国民が見ていたそうです。
ちなみに、日本では最高52%でした。
ちょうどそのころイラン・イラク戦争が続いていましたが、おしんが始まるとイラン側もイラク側もテレビを見るため、攻撃を止めたそうです。
おしんが佐賀で嫁いびりにあうと「佐賀の人間は悪い奴らだ。俺が行って仕返ししてやる!」と本気で言う人も出てきました。
イランではとても「佐賀出身」とは言えません。
良かったことは、このドラマを見たたくさんの若い女の子が、おしんを見習って勉強に励み、努力を重ねたと報道されたことでした。
めでたし、めでたし。
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